SND、 OPCA、 SDS のいずれの病型であれ、その脳は経過が長ずるにつれて MSA と呼んで問題のない脳になっていくことは、多くの臨床医の既に知るところであろう。 しかし、先に示した経過約 11 年の OPCA にもみるように、それは一律に語れるものではないことも事実ではあるが。 ここで示す長期経過の例は、そのような問題を扱うわけではない。 GCI は oligodendroglia の胞体内に形成される。 それは中枢ミエリンを形成する細胞である。 また、その数は少ないものの、類似の構造物はは神経細胞にもみられる。 症例 1 (図 A、 B)は経過約 14 年。 症例 2 (図 C 、 D)のそれは約 19 年である。
図A: 運動野皮質下白質を含む広範な白質の淡明化(白質変性:ミエリンと軸策の高度減少)が明らかである。
図B: そこでは、oligodendrocyte の減少と残存する oligodendrocyte の GCI 形成がみられる。 GCI の形成は細胞死へ連なる異常である。
図C: 本例では、高度の大脳白質変性に加え、辺縁系の高度変性が明らかで、とくに、側頭葉歯状回の顆粒細胞は高度に脱落、残存細胞の多くに Pick body 様の胞体内封入体の形成がみられた。
図D: それらの封入体は G-B 陽性である。 実は、この封入体にはリン酸化 tau と α-synuclein の共存が確認された。 Pick 病と MSA の合併か?  Pick body は G-B では染まらない。 側頭葉白質の GCI にも両分子共存がみられた。